公社債についてですが、満期保有目的債券に入る前に、公社債についての簡単な知識と端数利息についてのお話です。
公社債の流れ
公社債ってなんだか一般の日常生活にまったく馴染みがないですよね。私も詳しくありません、ですが知ってる所はお話しますね。
社債を例にとって言いますと、社債は企業が資金を調達することを目的として、投資家からお金を払い込んでもらうのと引き替えに発行する券です。
例えば企業が何か新しい商品の開発をしようと決定して、そのためのお金が必要になったとします、企業は銀行からお金を借り入れることもできますが、投資家から直接資金を融通してもらったほうが有利だと思い、企業は社債を発行することによって資金を集めることにしました。次に企業は金融機関を通じて「何%利息を払います、5年間貸して下さい、期日が来たら返します」といくつか条件をつけて投資家へ融資の募集を呼びかけます。投資家はこの募集を聞いてリスクを踏まえつつお金を貸し出すかどうか判断します。そして企業は投資家から集まったお金を元に新しい商品の開発をスタートさせることができました。つづいて企業は長期にわたり何回か利息を払いつつ満期をむかえ、社債を持つ所有者たちに借りたお金を返済することになります。これが公社債発生から消滅までの基本的な流れです。どちらかというと簿記というより経済の話ですね。
同じ債権に借入金がありますが、借入金と社債の違うところは借入金は債権者と債務者が1対1で社債は1対不特定多数というのが大きな特徴です。借入金は債務者が返済できなくなった場合、即貸倒れになります。社債の場合は証券化されて流通しているので、もしある投資家が満期をむかえる前に何かの理由で急にお金が必要になったら、市場を通じて社債を他の投資家に売却することが可能です。投資家からみても社債は借入金より魅力があったりします。
- 公社債の特徴は
- ・ 団体または法人が不特定多数の投資家から借り入れる
- ・ 利息を払う(利率が無い時もあります)
- ・ 満期があって、満期になれば返済される
- ・ 市場があれば債権をすぐに売却することができる(売買目的の場合)
知識として知っておいて下さい。
端数利息
公社債の利息について、公社債は市場があればいつでも売却することができます。このとき利息がもらえる債券を購入した場合、購入者は前回の利払日の翌日から売買した日までの間の利息を前の所有者(売主)に立替払いすることになり、これを端数利息といいます。
なぜ端数利息を払わなければいけないのかというと、公社債を発行した会社は公社債を持つ現在の所有者に対してのみ利息を支払うからです。前の所有者には利息を支払わないからなんです。
このため公社債を利払日以外の日に購入した場合、端数利息のための仕訳をすることになります。
端数利息の処理
端数利息は前回の利払日の翌日から売買日までの利息のことをいいます。どのように発生してどのように処理をするのでしょうか。
例えばこういった条件の社債があったとします。
- A社社債 額面100,000円
- 年利率:2.4%
- 利払日:年1回12月末
- 売買目的で購入
この時利息を受け取るにあたって、
- 社債を利払日の翌日から持ち続け、次の利払日をむかえたケース
- 社債を利払日の翌日から持ち続け、次の利払日をむかえる前に売却したケース
- 社債を利払日の翌日以外の日に購入し、次の利払日をむかえたケース
- 社債を利払日の翌日以外の日に購入し、次の利払日をむかえる前に売却したケース
と債券にはいくつかのケースが考えられます。
1. 社債を利払日の翌日から持ち続け、次の利払日をむかえたケース
利息は決まった期日に利息が支払われています。この例では12月末の年1回が利払日になります。このA社社債を前回の利払日の翌日から持ち続け、利払日をむかえた場合、1年間社債を保有したことになり、満額の利息がもらえることになります。利息は
- 100,000×0.024×
- 12ヶ月
- 12ヶ月
- =2,400円
2,400円が当期の有価証券利息になります。
2.社債を利払日の翌日から持ち続け、次の利払日をむかえる前に売却したケース
次のケース、A社社債を利払日の翌日から保有し、次の利払日をむかえる前に売却した場合の利息の求めます。例えば8月末までの8ヶ月間保有したとします。この場合は
- 100,000×0.024×
- 8ヶ月
- 12ヶ月
- =1,600円
1,600円が当期の有価証券利息になります。8ヶ月しか保有していなかったので利息は8ヶ月分しかもらえません。残り4ヶ月の利息分は売却した相手の利息分になります。利息は保有している時の経過に応じて発生するのでした。簿記3級の借入金のときもそうでしたね。
またこの例の場合、利息は例題の関係で月割で計算していますが、通常は日割で計算します、月割か日割かどちらで計算するのかは問題文の指示に従って下さい。