帳簿上の金額と銀行口座残高の金額が一致しない時
このページでは銀行勘定調整表★1について学習します。
当座預金は企業がはじめに株式会社を設立した時、代金決済をスムーズに行うため銀行へ当座預金口座を開設したのでした。
そして日々取引の都度、帳簿をつけて当座預金勘定の残高を把握しています。ですが帳簿をつけて帳簿上の金額を把握をしているだけではダメですよね、記入漏れがあるかもしれないし、代金の回収が本当に行われたのかどうかわからなかったり、金額を間違えて記入してたりする可能性があります。
帳簿上の勘定の金額と銀行にある口座残高の金額を間違えたまま財務諸表に載せてはいけません。
なので企業は当座預金勘定の残高と銀行にある実際の当座預金口座の残高が本当に合っているのか確認しなければなりません。
しかし当座預金口座には預金通帳というものがありませんでした。
そこで企業はどうしたのかというと、月末や決算日などの決まった日に、銀行から残高証明書★2を発行してもらい、定期的に当座預金勘定と銀行の当座預金口座に間違いがないか確認をすることにしたんです。
残高証明書は銀行が企業に対して、当座預金の残高を証明する書類です。
銀行から残高証明書を発行もらい、勘定残高と口座残高を比較して、一致していればなにも問題はないのですが、一致しなかった場合は原因を調査することになり、そこで金額確認のために使用するのが銀行勘定調整表です。
銀行勘定調整表
銀行勘定調整表は当座預金勘定の残高と銀行の残高証明書の残高が一致しない時、不一致の原因を明らかにするため作成する表です。★3
また銀行勘定調整表の作成方法には1.両者区分調整法と2.企業残高基準法と3.銀行残高基準法があります。
- 両者区分調整法
- 企業側の当座預金勘定残高と銀行側の残高証明書残高の両方にそれぞれ加減して両者の修正残高を一致させる方法
- 企業残高基準法
- 企業側の当座預金勘定残高を銀行残高証明書残高に一致させる方法
- 銀行残高基準法
- 銀行側の銀行残高証明書残高を当座預金勘定残高に一致させる方法
銀行勘定調整表の学習は1の両者区分調整法で話を進めていきます。★4
そして銀行勘定調整表・両者区分調整法のひな型はこちら
当座預金勘定残高 | 600 | 銀行残高証明書残高 | 770 | ||
(加算) | (加算) | ||||
未渡小切手 | 290 | 時間外預入 | 280 | ||
連絡未通知 | 310 | 600 | 未取立小切手 | 300 | 580 |
(減算) | (減算) | ||||
誤記入 | 100 | 未取付小切手 | 250 | ||
適正残高 | 1,100 | 適正残高 | 1,100 |
銀行勘定調整表ではどのような手続をとるのかというと、右側と左側にわかれます、左側を企業側とし、一番上に当座預金の勘定残高を書き込み、右側を銀行側とし、一番上に銀行残高証明書残高を書き込みます。
次に企業側の当座預金勘定残高の金額が一致しない原因を調査★5して、原因がみつかったら銀行勘定調整表上の当座預金勘定残高を加算減算して修正していき、当座預金勘定残高の修正残高を求めます。
この時、原因を調査した項目について、仕訳が必要なら帳簿に修正仕訳をします。
次に銀行の残高証明書側も同じように、銀行の残高証明書の残高から始めて、原因を調査して不一致の原因がみつかったら銀行勘定調整表上の残高証明書の残高を加算減算して修正し、銀行の残高証明書の修正残高を求めます。
この時、調査した項目について、必要なら銀行の帳簿の修正仕訳をするわけですが、というかできませんね。銀行に乗り込んで修正仕訳してくれなんでできません、この場合時間が経てば修正されると考え銀行側は仕訳しません。
そして上から加算減算されて修正された企業側の勘定残高と修正された銀行の残高証明書残高の両者を照合して、一致した時点でお互いの帳簿残高と預金口座の残高は間違いではなかったんだと確認できることになり、晴れて帳簿上の当座預金勘定の金額を財務諸表に載せることができるんだ、ということになります。
ここまでがおおまかな流れです。
金額の横に未渡小切手とか連絡未通知と書いてあるのは摘要欄で、簡単な取引内容を書いておきます。銀行勘定調整表で書かれる内容は不一致の原因の場合がほとんどですね。
当座預金勘定残高 | 銀行残高証明書残高 | ||||
(加算) | (加算) | ||||
(減算) | (減算) | ||||
適正残高 | 適正残高 |
帳簿上の金額を直接いじくることはできないので、銀行勘定調整表という紙の上を使って確認することになっているんですね。
両者区分調整法の仕組みはそんなに難しくないですよね?左側の上から下へ、右側の上から下へ、そして下の金額が合っているか確かめる、そんな感じです。