有形固定資産

それではまた問題を解きながらおぼえましょう。

  • 【例題】
  • 平成×1年1月1日に購入した取得原価1,000,000円のA社建物を、 本日平成×1年12月31日決算日につき減価償却を行う。このときの減価償却費を求め、 直接法を採用した場合の仕訳と間接法を採用した場合それぞれの仕訳をしなさい。 なお、建物の残存価額は取得原価の10%で、耐用年数は5年とする。

おなじ問題を直接法と間接法で仕訳をしたばあい、どのように違いが出るのかを確認しながら読んでくださいね。

あと、例題でもとめる減価償却費は、前ページで公式を使用して解いた180,000円と同じ金額なので省略します。

直接法の場合の記帳法

直接法で記帳する場合、直接法は有形固定資産の帳簿価額から直接減価償却費を控除する方法ですので、

  • (借方)
  • 180,000
  • (貸方)
  • 180,000

と、このように建物勘定科目から直接減らすという仕訳をします。
また、このときの勘定口座の動きを少しみてみましょう。

  • 1,000,000
    180,000
  • 180,000

建物勘定科目から直接、減価償却費が減らしているというかたちになっています。建物の簿価は1,000,000-180,000=820,000円で、決算日の時点で、この建物には820,000円の価値がある、ということがわかります。直接法の場合、建物の勘定口座だけをみればいいので、簿価をもとめる時は楽にわかります。

間接法の場合の記帳法

それでは一方、もうひとつの方法、間接法で記帳した場合は、どういう仕訳をするのかというと、

  • (借方)
  • 180,000
  • (貸方)
  • 180,000

という仕訳をします。金額はいっしょです。

間接法は当期中に使用した価値の減少分を減価償却累計額という資産のマイナスの勘定科目に毎期ごとに足していくということになります。また、このときの各勘定口座の動きは

1,000,000
  • 180,000
  • 180,000

間接法で記帳した場合、建物勘定科目は直接影響を受けません。
では、どのように建物の価値を評価するのかというと、建物から減価償却累計額を差し引くことによって現在の有形固定資産の価値がわかるという仕組みなんですね。有形固定資産と減価償却累計額は一つのそろった組として考えます。

間接法で記帳した場合の簿価は、建物-減価償却累計額で、建物の価値をもとめるということになります。

<間接法の場合>

  • 簿
  • 各勘定科目
  • 減価償却累計額

間接法の場合も、1,000,000-180,000=820,000円で、直接法で記帳したばあいとかわらない結果になります。

まとめると、直接法の場合は、簿価と勘定科目金額の金額は同じなので、みればすぐにわかりますが、間接法の場合は、減価償却累計額勘定で毎期ごとに集計をされているので、間接法で記帳していて、もし簿価を知りたくなったときは、勘定科目(建物、備品など)から減価償却累計額を引いてもとめるという、少し面倒なことになります。

ですが間接法の方は、各勘定科目から間接的に引いて求めているので、いくらで買ったのかがわかる利点もあります。

直接法と間接法のそれぞれの記帳方法と利点をおぼえてくださいね。