有形固定資産
基本的な考えがわかっていただけたと思うので、次の問題の仕訳をしてみましょう。
- 【例題】
取得価額1,000,000円、帳簿価額300,000円の建物を不動産業者へ200,000円で売却し、代金は小切手で受け取った。
このときの仕訳を、直接法をもちいた場合と、間接法を用いた場合の2通りの仕訳をしなさい。
有形固定資産を売却した場合の仕訳には、簿価を知るために減価償却の話がかならず絡んできます。直接法と間接法の2つの記帳方法の違いを確認しておいてくださいね。
まず、問題文から、なにが何円かを読み取ります。
- 取得価額
- 1,000,000円
- ・・・・・①
- 帳簿価額
- 300,000円
- ・・・・・②
減価償却累計額は、(取得価額)1,000,000-(帳簿価額)300,000から700,000円とわかります。
- 減価償却累計額
- 700,000円
- ・・・・・③
基本的な情報がわかったところで、有形固定資産を売却した場合を考えます。さきほど説明したとおり、
- 帳簿価額が売却価額より少ない場合
- ⇒
- 固定資産売却益勘定科目(収益)
- 帳簿価額が売却価額より多い場合
- ⇒
- 固定資産売却損勘定科目(費用)より、
帳簿価額と売却価額を比較して、帳簿価額300,000円>売却価額200,000円で、帳簿価額のほうが多いので、建物を売却したことにより、100,000円損をした、損失がでたということがわかります。
- 固定資産売却損
- 100,000円
- ・・・・・④
この①~④のデータを使って直接法を採用したばあいの仕訳と、間接控除法を使用している時の仕訳を考えます。
直接法を用いていた場合
このあたりはいままでの知識をうまく使いこなせるかという、簿記のセンスの問題としかいいようがないんですが、直接法の場合の仕訳は、
- (借方)
- 現金
- 200,000
- (貸方)
- 建物
- 300,000
- 固定資産売却損
- 100,000
と、仕訳をします。
直接法の場合は、各有形固定資産勘定の金額は直接控除されているので、減らすときの金額は、300,000円になるところに気をつけてください。
間接法を用いていた場合
間接法を採用していた場合は、減価償却累計額がついてくること、建物勘定科目は取得原価のままの金額というところが直接法と違うところです。
- (借方)
- 現金
- 200,000
- (貸方)
- 建物
- 1,000,000
- 建物減価償却累計額
- 700,000
- 固定資産売却損
- 100,000
間接法のルールを思い出してください。減価償却累計額は各勘定科目と一組、セットになっていましたね。固定資産を売却した時は、各勘定科目が消滅するので、それと同時に、各減価償却累計額も消えることになります。