商品売買
三分法の記帳のしくみは理解していただいたと思うので、実際に例題を解いてみましょう。
商品売買で簿記処理をするタイミングは
「仕入れた時」-「販売した時」-「決算をむかえた時」
の3つのポイントがあります。
三分法の勘定処理方法
- 【例題】
1月1日 ○×書店は本10冊を商品として1冊あたり2,000円で仕入れ、代金は現金で支払った。
5月20日 上記商品のうち7冊を1冊あたり2,500円で売り上げ、代金は現金で受けとった。
12月31日 本日決算につき、売れ残った本3冊を、仕入勘定から繰越商品勘定へ振替えた。
お店で通常行われている、商取引ですね。
仕入時
○×書店は、本を1冊あたり2,000円で、それを10冊仕入れましたから、借方は仕入勘定科目(費用)で、貸方は現金で
- (借方)
- 仕入
- 20,000
- (貸方)
- 現金
- 20,000
と仕訳をします。
販売時
仕入れた商品のうち、7冊を販売して、支払いは現金で受け取っています。商品を販売した場合、売上勘定科目(収益)を使用し、仕訳をします。
このときの金額は、売れた商品1冊あたり2,500円で、これが7冊ですから、2,500×7=17,500円になります。
- (借方)
- 現金
- 17,500
- (貸方)
- 売上
- 17,500
商品を仕入れたときは仕入勘定で、売上げたときは売上勘定科目で処理するという、かなりあっさりしている気がしますが、こんなもんです。
仕入勘定科目には原価×数量を、売上勘定科目には売値×数量の金額を記入するところがポイントです。
決算時
三分法の場合、商品販売益をそのつど計算している分記法とは違って、決算時に利益を計算しなければいけないんですね。商品販売益というのは、当期の会計期間中、一体どれくらい儲かったのかという利益(粗利といいます)のことです。このまま売上勘定科目から仕入勘定科目の金額を引くと、売れ残った未販売の本3冊分が当期の原価として含まれて計算されてしまうので、(前ページの最初の図の状態)繰越商品勘定科目(資産)へ振替える手続きをおこないます。
問題文から、本3冊分が売れ残ったということなので、
- (借方)
- 繰越商品
- 6,000
- (貸方)
- 仕入
- 6,000
記入する金額は、もちろん仕入値(原価)で記入をします。
この仕訳をすることによって、繰越商品勘定へ振替えると同時に、仕入勘定科目から棚卸資産が取り除かれることになります。
各勘定口座の動き
決算時の勘定口座から、利益を計算してみましょう。
仕入 現金20,000繰越商品6,000売上 現金17,500
仕入 | 6,000 |
決算時の各勘定口座はこうなっているはずです。
ではこの会計期間の利益は、いったいいくらなのか?というと、
仕入勘定科目から、20,000-6,000=14,000円(売上原価)
売上勘定科目から、17,500円(売上)
売上利益17,500-14,000=3,500円(利益)
ということで、商品が売れたことによって生じた当期の利益(粗利益)は、3,500円と各勘定口座から読みとることができます。
また、公式からも、
17,500-(20,000-6,000+0)=3,500
となり、やっぱり同じ金額になります。
また、売れ残った商品6,000円は、いったいどうなるのかというと、繰越商品勘定科目に振替えられ、棚卸資産として次期に持ち越されることになります。
このように仕入、販売、在庫管理と3つの活動をうまくからめて計算することで、期間中の販売益の金額がわかるという記録方法が、三分法(三分割法)による記帳方法になります。