貸付金と借入金
企業は資金に余裕があるとき、取引先や他の企業にお金を貸すことがあります。また、資金が足りない時に銀行や取引先からお金を借りることがあります。
この金銭の貸し借りによって生じた、「お金を返してもらえる権利」のことを貸付け、「お金を返さなければならない義務」のことを借入れといいます。
貸付けと借入れはいわゆる借金のことで、皆さんがイメージしている普通の?借金のイメージでいいと思います。借りたら返す、貸したら返してもらう、お金を貸し借りの内容を明らかにしておくため借用証書を交わす、借りた分の利息を払う、貸した分の利息を受け取る、とそのままです。
簿記では金銭の貸し借りがあった場合、権利があるまたは義務があると、きちんと見分けがつくよう他の勘定科目と区別するために、貸付金(資産)と借入金(負債)と分けて記帳することになります。
では例題。
- 【例題】
①A社は年利率2%、利息は返済時に受け取るという契約で、B社に現金100,000円を3ヵ月間貸し付けた。A社とB社両者の仕訳をしなさい。
② ①の返済日になり、A社は利息とともに現金で受け取った。A社とB社両者の仕訳をしなさい。
①A社貸付け時の処理
- (借方)
- 貸付金
- 100,000
- (貸方)
- 現金
- 100,000
A社は取引先などにお金を貸したのでしょうか、お金を貸した場合、返してもらう権利があります。そして、権利があることを区別するために貸付金勘定科目(資産)で処理します。
①B社借入れ時の処理
- (借方)
- 現金
- 100,000
- (貸方)
- 借入金
- 100,000
一方、B社は借入れを行ったので返す義務があります。義務があると区別するために借入金勘定科目(負債)で処理します。
そして例題②ですが、利息とともに現金で受け取った、とあるので利息の計算をします。
利息の計算
利息の計算方法は減価償却費でやったあの感じとだいたい同じなので、知っている方は読み飛ばしてください。
利息は次の式で計算します。
- 1年分の利息
- =
- 貸付(借入)金額
- ×
- 年利率
年利率(ねんりりつ)は1年分の利息の割合という意味です。返してもらう権利・返す義務が1年間発生していると、貸付(借入)金額に年利率をかけた分の利息が発生する仕組みというのが年利率になります。
具体的に式に当てはめると、
1年分の利息 = 100,000 × 2% で、
100,000円を1年間貸しまたは借りをし続けていると、2,000円が利息として発生するということになります。
そして例題では1年間ではなく3ヵ月のあいだ貸し借りをしていたということで、2,000円を12ヵ月で割ったその3ヵ月のあいだということなので、3分の12をかけて
3ヵ月分の利息 = 100,000 × 2% × 3 / 12
500円が3ヵ月分の利息の金額として求まります。
利率の計算は貸付金・借入金の計算だけでなく、有価証券とか簿記では頻出ですので覚えてしまってください。
②A社回収時の処理
- (借方)
- 現金
- 100,500
- (貸方)
- 貸付金
- 100,000
- 受取利息
- 500
回収したので貸付金勘定を減らし、受け取った利息の分は受取利息勘定科目(収益)で仕訳をします。
②B社返済時の処理
- (借方)
- 借入金
- 100,000
- (貸方)
- 現金
- 100,500
- 支払利息
- 500
B社は利息を支払った側です。利息を支払った場合は、支払利息勘定科目(費用)で処理をし、借入金勘定も減少させます。