手形貸付金と手形借入金
手形貸付金と手形借入金についてです。
手形借入れとは、借用証書の代わりに約束手形を振り出して、お金を借り入れることをいいます。
手形貸付金と手形借入金は、貸付金と借入金のページでお話しした通り、金銭の貸付けや借入れをするとき、借用証書を用いてお金を貸し借りするのが通常ですが、借用証書の代わりに約束手形を用いて貸付けや借入れを行うこともできるんですね。
約束手形というのは、手形の章で学習したあの約束手形のことで、あれを使って貸し借りを行うということですね。
手形を使ってお金を貸し借りするなんてあまりピンとこないかもしれませんが、手形を担保にしてお金を貸し借りすることは商売上ではよくあることなんだそうです。普段の業務で手形を使っていますから、借用証書を作成するより処理が楽なんでしょうね。
約束手形と借用証書で融資を行うメリットデメリット
- ・返済期日に銀行側で自動的に決済されます。
- 約束手形なので期日までに銀行口座にお金がないと手形の不渡りで「事実上の倒産」になってしまうので、借用証書と比べて支払わせる強制力があります。また、手形の場合は取り立てに行く必要もありません。便利です。
- ・手形の裏書、割引ができます。
- 約束手形なので、手形の章で学習した、裏書・割引ができます。借用証書でも換金はできなくはないですが、手形のほうが流通性が高いですから、やはり手形のほうが便利です。
とまぁ簿記3級の試験には直接出題されることはありませんが、こんな感じです。ポイントは約束手形か借用証書かという違いだけで、前ページの貸付金借入金とほとんどかわりません。そして例題ですが例題も貸付金借入金とほとんど同じなので、サラッと読んでおけば大丈夫です。
では例題です。
- 【例題】
①A社は年利率2%、利息は返済時に受け取るという契約で、B社に現金100,000円を3ヵ月間貸し付け、同額の約束手形を受け取った。A社とB社両者の仕訳をしなさい。
② ①の返済日になり、A社は利息とともに現金で受け取った。A社とB社両者の仕訳をしなさい。
例題文も利息の金額も一緒です。利息の求め方がわからなくなってしまった方は、貸付金と借入金ページへ。
①A社貸付け時の処理
- (借方)
- 手形貸付金
- 100,000
- (貸方)
- 現金
- 100,000
例題では約束手形をやり取りしたということになっています。金銭の融資が目的で約束手形を振り出したので、受取手形勘定科目は使いません。またお金を返済してもらう権利があるのですが、約束手形を振り出したので、貸付金勘定科目も使わず、ここでは手形貸付金勘定科目(資産)という別の勘定科目を使います。頭に手形が付いたということですね。
①B社借入れ時の処理
- (借方)
- 現金
- 100,000
- (貸方)
- 手形借入金
- 100,000
返済義務があることを区別するために手形借入金勘定科目(負債)を使い、貸方は現金を受け取っているので、現金で処理をします。
②A社回収時の処理
- (借方)
- 現金
- 100,500
- (貸方)
- 手形貸付金
- 100,000
- 受取利息
- 500
ここもパターンは一緒です。手形貸付金勘定を減少させ、利息は受取利息勘定で処理をします。
②B社返済時の処理
- (借方)
- 手形借入金
- 100,000
- (貸方)
- 現金
- 100,500
- 支払利息
- 500
以上、約束手形で金銭を貸し付け借り入れをしたときは、手形貸付金・手形借入金を使うでした。