経済主体の諸活動
さて話は深くなっていきます。企業のさまざまな経済の活動を簿記ではどのようにして記録してくのかという基本的な考えについてです。
企業の諸活動
諸活動を記録するということですが、企業の活動といっても具体的にいうと、
「帳簿をつけるために、ボールペンを買った。」とか、
「取引先に行くために、営業車にガソリンを入れた。」
など、企業やお店での活動内容は、いろいろありすぎて、とりとめがありません。
本当はこうして文章ごとに、一つひとつ細かく記述したほうが、記録をしていくうえでは正確なのでしょうが、いちいち文章で記録していたら、企業の活動は膨大ですから、キリがありませんね。
それに、個人ごとに文章のニュアンスがかわってくるかもしれませんし‥。
そこで簿記では、営業活動の起こった出来事に注目して、言葉にある程度のゆとりをもたせて、記録をすることにしているんです。
ゆとりというのは、上記の例で具体的にいうと、「ボールペンを買った」という行為を「事務用品を買った」というように言葉に幅をもたせて記録をすることになります。
事務用品といえば他にも、コピー用紙も事務用品ですし、マジックペンもそうですね。
このコピー用紙やマジックペンを買ったときも全てまとめて事務用品として記録をすることになります。
この結果、ありとあらゆる企業の活動が、あるていどのまとまりの中で、簡素化された状態で、記録をすることができるんですね。
ではなぜ事務用品というように、わざわざある程度、言葉にゆとりをもたせて記録をしているのかというと、そうしたほうが都合がいいからなんです。
前章でお話したように、株主や銀行などの利害関係者が企業の財産状態を見る立場からみて、ボールペンを買ったことをいちいち知ったところで、あまり意味をなさないんですね。
むしろ伝える情報が多くなってしまい、本来伝えなければならない重要なことがつたわらなくなる可能性すらあります。
こういった理由で、企業の活動を簿記で記録することについては、ある程度言葉に幅をもたせて記録をすることになります。
今は意識しないで、実際に問題をといてもらったとき、なんとなくわかっていただけると思います。
理屈をはなすとこうだからだよ、っていうことです。
また、今の例では「ボールペン=事務用品」というように決めつけてしまいましたが、もし、買ったお店が文房具屋さんだとしたらどうでしょうか。
おそらく、商品として売る目的で、買った可能性もありますね。当たり前ですが、いつでも「ボールペン=事務用品」の関係が成り立つとはかぎらないんですね。
このあたりはもう、国語の問題というしかないんですけど、どこで判断をするのかというと、活動の目的で判断することになります。具体的には前で修飾している文章ですね。
売るのか、使うのか、人にあげるのかというように、売る場合は「商品」、使う場合なら「事務用品」というように、目的によって企業の活動の記録内容がかわります。
日本語ってむずかしいですね。アハハ・・・(汗)
簿記では、「買った」という企業の活動に注目するよりは、この「買った」に幅をもたせた、「商品」とか「設備」という、経済活動の目的を、より注目して学習していくことになります。